治療者の自己愛①
ほどほどの自己愛は必要であろうが、その見極めは難しいと思う。
自分なら治せる、とか、自分にしかできない、などと思ったり、誰かに教えたい、とか、わかってもらいたい、などという心の動きには注意する方が良いのかもしれない。
しかしながら、そう思うことが、治療者としてのモチベーションに絡んでくることもある。難治で複雑なケースを担当する場合、あるいは、自分以外には専門家がいないような場合、自分を鼓舞して、治療者として機能するためには、ほどほどの自己愛は必要なんだと思う。あるいは、治療者としての密やかな情熱の推進力として、自己愛、というのは役に立つのかもしれない。
でも、自己愛の問題が難しいのは、自分だけでは客観的に判断できない、ということだと思う。かといって、誰かと面と向かって話す、という類のものでもない。まずは治療者の自己愛、ということについて、問題意識をもつことから始めるしかないのかもしれない。